遺伝疾患への取り組み

【股関節形成不全】

股関節形成不全とはゴールデン・ラブラドールに多い遺伝性の関節の病気です。重度の場合、脱臼したり神経を圧迫して痛みが出るため歩くことが困難になる恐れがあります。

根治する方法は無く、外科的手術になると、治療費は片足の治療に50万円以上と高額になります。何よりワンちゃんは一生痛みに耐えながら生きることになります。

股関節形成不全の発症の要因は70%が遺伝的要因・残り30%は環境要因と言われており、両親を検査することは生まれてくる子犬の遺伝子をコントロールする意味で大変重要な意味を持っています。


プレジールケンネルでは両親犬の股関節の状態をJAHDという検査機関で検査を受けています。片足13以下の親犬だけで繁殖をしています。

この数字は0~45まであり、数字が少ない方が良い股関節になります。

0を目指す方針ではなく、一生涯自分で歩ける関節を目指しているので、13までは許容範囲と考えています。


両親を調べ始めて10年以上経ちますが、非常に良好な結果が出ており、ケンネルで残した子に発症する子犬が激減しています。


お客様のご好意で頂く巣立ったワンちゃんたちの結果はケンネルの子よりも良いスコアが出る傾向にあります。このことから、一般の飼い主様が飼育する場合、リスクではなく、良い状況であるという事になります。


環境により股関節が悪くなる例

・階段での生活

・コンクリートでの運動

・登山・マラソン・自転車並走などの日常的で長時間の強い運動

・肥満

・運動不足

・日光浴不足など

※飼い主様には飼育環境や運動、体重管理を飼い主様が管理していただく必要があります。


★参考:アメリカで若年期の避妊去勢手術は関節や骨の成長に影響があるとしており、生後1年未満の避妊去勢手術を奨励しないという報告があります。


★現在、プレジールケンネルでは100頭に1頭程度に股関節形成不全が出る傾向にあります。残念なことに全く発症しないという状況には至っておりません。


★手術が必要になった場合の治療費は片足50万円以上と高額になります。万が一に備え、ペット保険の加入や貯蓄をご検討ください。


★生後2か月の頃は関節が小さいのと、関節の隙間が非常に空いているため、将来の形状を予想する事が難しく、股関節に異常があるか判断をすることが出来ません。


★成長期の生後4か月~5か月に歩行の違和感がありましたら、整形外科専門医の診察をお勧めします。骨頭や臼蓋(きゅうがい)を人工物にしなくてもよい治療法があります。


★心配で確認したい時はこの頃(生後4~5か月)にレントゲンを撮ると、ある程度の判断が出来ます。



最近の傾向

・両親犬や兄弟姉妹、祖父母以上の祖先を検査している繁殖は安全度が増す。

・同じ腹の兄弟でもAランクと中度の股関節形成不全が出てしまうことがある。

・気を付けて育てた家庭犬の方が結果がよい。

・プレジールの犬庭はコンクリートなため、スコアが少し高くでる。

・ドッグランに行き過ぎた犬、引っ張り癖のある犬のスコアは高くなる。

・エラーになるレントゲン画像が増えてきて獣医師の技術不足を感じる。



こちらのページで、さらに詳しく記載しました。(最下にもリンクあります)

https://www.pregyle.com/posts/categories/2447282


JAHDにて公開している検査結果

http://www.jahd.org/wp/wp-content/uploads/2022/06/GOLDEN_RETRIEVER-2.pdf


1ページ目の上から34番目の犬が2012年に初めて登録した犬です。

そこからほぼ全ての犬を登録・公開しています。

そこから数年後からお客様のワンちゃんも検査に協力して頂くようになって現在の様に日本で一番登録の多いケンネルになっています。


※PREGYLE JP は全てプレジールで生まれた子犬です。 


プレジールの活動が多くのブリーダーの希望となりますように願っています。信念を貫き通すことで無理という思考が変化する可能性があります。


単一 遺伝子疾患検査


★両親の遺伝子検査の結果から、子犬は下記の12項目に於いて、発症しません。
(検査機関:オリベット https://orivet.jp/%e3%81%8b%e8%a1%8c/

※2023年位から11項目から12項目に増えました。オリベットが世界的に流行している遺伝疾患を選別しています。また解明された遺伝疾患がプラスされたりします。


2024年現在は下記の項目で調べています。

先天性眼奇形(ゴールデンレトリバー)

変性ミエロパチー/変性性脊髄症 栄養障害性表皮水疱症(ゴールデンレトリバー系)(2023年頃から削除)

汎進行性網膜萎縮症 PRA 1 (ゴールデンレトリバー系)

汎進行性網膜萎縮症 PRA 2 (ゴールデンレトリバー系)

進行性網膜桿体-錐体変性症 (prcd PRA)

変性脊髄症( 2023年頃から追加)

神経セロイドリポフスチン症 NCL(CL症)(ゴールデンレトリバー系)

ジストロフィー性表皮剥離症水疱症(ゴールデンレトリバー

タイプ)( 2023年頃から追加)

魚鱗癬A(ゴールデンレトリバー系)

魚鱗癬ゴールデンレトリバー2型( 2023年頃から追加)

骨形成不全症(ゴールデンレトリバー系)

骨格異形成 2 (軽度の不均衡な小人症)( 2023年頃から追加)

骨格形成異常/骨異形成症2(中程度不均衡型小犬症)(2023年頃から削除)

フォン・ヴィレブランド病 I 型( 2023年頃から追加)


※たくさんの項目がありますが、日本のゴールデンはほとんどキャリア遺伝子を持つ子はいません。 PRA1、PRA2、prcdPRAがキャリアのゴールデンを見たことがありません。

※ヨーロッパ系の犬は魚鱗癬(ぎょりんせん)の発症遺伝子を持つ子が多くいます。

在犬ではJACK、ミラーシャ、モナ

モナは両親の遺伝子検査時代には項目が無かったため発見できませんでした。恐らくララがキャリアだったのだと思います。

※評価がクリア、キャリアの子は発症しません。アフェクテッドの場合のみ発症しますが、全てのアフェクテッドが発症する訳ではありません。

重要なのはキャリア同士の交配、アフェクテッドを繁殖から排除することで、発症をコントロールできます。

キャリアは発症しないため、家庭犬として迎えた場合に注意することは何らありません。

※単一の遺伝子が病気発症に関わっているため、簡単にコントロールすることが出来ます。

ですが、国内のラボでは魚鱗癬を好発疾患として認識していないため、推奨項目に入っていません。そのため、密かに広がりを見せている可能性があります。


様々な遺伝子、環境要因で発症する病気は癌やヘルニア、股関節形成不全など数多くありますが両親、兄弟、従妹など血のつながりを全体から見ていかなければ減らすことが難しいです。これこそがブリーダーの仕事だと思って、日々研究をして病気が減る様に心がけています。

【魚鱗癬 A(ゴールデンレトリバー系)】

【魚鱗癬 ゴールデンレトリバー2型】


発症すると皮膚がうろこ状にポロポロと剥がれて皮膚がカサカサになってしまいます。

対処療法しかなく、治療法は確立されていません。

また、アレルギーや皮膚炎、アトピーと間違われることも多くあり、この病名に辿り着かないことも見受けられます。